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自動車の先進技術や機能を
どうやって理解してもらうか?

7ヵ月もの間、新車で購入したSUVのパーキングアシストから発せられる甲高い電子音にパニックになりながらも耐えてきた。確かに駐車の際は便利だが警告音が緊張を強いるのである。

ある日突然、パーキングアシストが作動しなくなった。おかげで1ヶ月ほど静寂を満喫したが、同時にこのテクノロジーに依存しきっていたことに気付いた。そのうちボタンを操作することでパーキングアシストのオン・オフができることを発見した。夫婦のどちらかが(私としては夫の仕業だと思いたいのだが)過って切ってしまっていたに違いない。

大げさに語るほどのことではないが、自分の経験は同様の問題に直面する多くの新車オーナーがとる行動を例示しているのである。つまり何もしないか、あるいは長いこと我慢してから重い腰を上げるのである。

筆者は次代のミレニアル世代と同じように「技術依存度」が高い。ならば自分のSUVに搭載されたパーキングアシストや他の装備の詳しい使い方や原理が理解できないのはどう説明すればよいのだろうか。しばらく時間が経ってからネットで見つけたチュートリアルビデオを観て色々と学ぶことができた。しかし、そもそも新車を購入した時点でこういった説明があるべきであったのではないかという疑問がわいてきた。

現代の車に搭載されているテクノロジーの多くはSF映画だけのものと思っていたが、すでに実用化されているのが現実だ。それでも下記のグラフからわかるように、テクノロジーに関してかなりのエキスパートと自認する消費者でさえ自分の車に自動化された機能があることに気付いていないのである。確かに自動化のレベルが低いので気付かないのかもしれないが自動化技術には変わりないのである。

「テクノロジーに精通している」レベル別 自動化機能の認識度

では、ディーラーの営業スタッフの役割は何であろうか。自動化技術はドライバーの役割を変えるだけでなく、ディーラーのユーザーに対するコミュニケーションや啓蒙の方法も変えてしまうのである。ディーラーは自らを専門家として位置づけなければならない。テクノロジーや機能をきちんと説明するということは、ユーザーの携帯電話と車のペアリングの仕方を教えるといった単純なレベルでは不十分なのである。車のあらゆる機能をとことん説明し使い方まで教える、といったレベルに近づく必要がある。筆者の経験では、専門知識の豊富な営業担当者による完璧な納車だけでは十分とは言えないのである。

2017 J.D.パワーSSI(自動車セールス満足度)調査のパイロット版によれば、車の機能についてディーラーの新車専門の商品スペシャリストに問い合わせるのは新車購入者のうちわずか17%にしか過ぎないのである。ディーラーは顧客の意識を変え、商品説明がいかに価値あるものかを理解してもらい、ディーラーが貴重な情報源であることに気付いてもらう必要がある。ディーラーは、これまでの納車の範囲で行ってきた商品説明を超越し、ユーザーに「感動と歓び」のある体験を提供することを考えなければならないのである。

この調査では、「ネット上のウェブサイトやビデオで自動運転機能について学びたい」と回答したのが38%、「営業担当者との対面での説明を受けたい」が30%、「テクノロジーのスペシャリストとの対面での説明を受けたい」が30%、そして「コールセンターのサポートを通じて説明を受けたい」が8%であった。こうやってみると、自動運転機能の商品説明は複数の方法を組み合わせて行ったほうが良さそうなのがわかる。そうすれば将来、完全自動運転が実現するころにはユーザー側もディーラーから商品説明を受けることに何の抵抗も感じなくなるであろう。

購入前、購入中そして購入後とそれぞれの機会を捉えて商品説明を行い、オーナーを常に喜ばせることができれば営業担当者にとり大きなメリットとなるはずだ。また、機能を説明したビデオへのリンクはウェブサイトに掲載したりメールなどで送信するのも有効な手段だ。購入後に再度の商品説明を行うことによりユーザーとの信頼関係が構築されるのである。

ディーラーのスタッフを専門家に仕立てるための教育を施せば顧客との信頼関係とロイヤルティーを築くことができるだけでなく、せっかくのテクノロジーの使い方がわからないがために自分の車の本当の価値に気付かないという事態を避けることもできるのである。ディーラーはApple StoreやBest BuyのGeek Squad(技術系カスタマーサービスチーム)のような優れた体験を提供するサービスを自動車販売に適した形で実現すべきである。

新車を購入してからしばらくの間、自分の車に搭載されたテクノロジーについてさらに深く説明してもらうべく営業担当者に連絡をとるべきか考えていた。しかし、実際にはなんのアクションもとらなかった。連絡をしなかったのは自分の責任だが、一方で購入してから数週間後に営業担当者が連絡をくれていたなら、筆者はよろこんで商品説明を受けていたと思う。その結果、車を所有した初期の体験がより素晴らしいものになっていたであろう。

今日、コミュニケーションはスピード、利便性ともに格段にアップしており、情報を提供するのに営業担当者が顧客一人一人に会う必要がなくなってしまった。ほとんどの顧客は、まさに今初めて自動運転技術に触れる段階にあるので、初めての体験が楽しくポジティブであることが肝要である。他の小売業では専門家が顧客にきちんとした商品説明を行い、その商品に十分な価値がることを認識してもらい、その結果ブランドに対するロイヤリティを高めるといった事例がある。ディーラーもこの手法を参考にすべきである。

筆者紹介
Nedlin Delgado
J.D. Powerの米国自動車小売り業界のシニアスーパーバイザーです。車を買った当初は自動運転機能が必要ないと感じていましたが、今ではなくてはならないものになったようです。

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