From Germany

停滞する普及率
ドイツのカーシェアリング事情

ドイツ人がカーシェアリングを受け入れているかどうかを知るには同国のボブスレーオリンピックチームを見ればよい。金メダル2個と銀メダル1個をとったばかりの選手たちは“車両” (具体的には2人乗りと4人乗りのそり)のシェアリングに関しては一家言があることが自明である。しかし、彼らの考え方を一般に膾炙するのは容易ではないようだ。

ミュンヘンの街を歩いていれば、DriveNowやcar2goが提供するカーシェアリングを利用している状況に頻繁に出会う。だが果たしてこれが本当に我々の未来なのか。疑問を感じずにはいられない。車の所有を放棄し、ステーションベース型(レンタル専用の営業所で車両を引き取ったり返却したりする) 或いはフリーフロート型(街中どこででも車両を引き取り、乗り捨てることができる)のカーシェアリングに完全に移行してしまうことなどあり得るだろうか。現在、ドイツではUber、Lyft、またはDiDiといった配車サービスが認められていない。 でも仮に認められたとすると、車の所有や使用に対するドイツ人の考え方がさらに変わる可能性があるのではないだろうか。

最近ドイツで行った調査によると、カーシェアリングが未来の移動手段として個人の所有に取って代わると想定した消費者はわずか16%にとどまった。また、個人の車がカーシェアリング事業者に登録され、使用していない時間だけ事業者に提供するといった折衷的な予想が19%ほどあった。都心に住み、自分の車をあまり頻繁に使用しないようなケースではこの考え方が有効かもしれない。しかし、最も多い42%の消費者が、カーシェアリングなどは特定の人達にしか利用されないだろうと回答した。さらに分析を進めると、ドイツにおけるカーシェアリング利用者の平均年齢が46歳で男性が過半数(61%)を占める。またほとんどの利用者(89%)が様々なカーシェアリングサービスが既に提供されている都市部に集中している。

ドイツでは将来カーシェアリングがどのようになると思いますか?

自分の車を持つことを放棄したくないという理由でほとんどのドイツ人がカーシェアリングの未来に否定的である。個人所有を諦め、代わりの交通手段を受け入れられると回答したのは全体の3分の1に留まる。J.D. Powerの他国の調査結果をみると、アメリカ人はドイツ人以上に自分の車への愛着が強く、個人所有の放棄に賛同したアメリカ人は全体のわずか26%であった。

対照的に、中国人の70%が放棄することに賛同した。
ドイツ人の消費者がカーシェアリングに対しまだ懐疑的な大きな理由としてコストがあげられる。約3分の1(32%)が、現在のカーシェアリングサービスが高すぎると回答。また、多くのドイツ人は清算時に発生していない損害(26%)や予想外の追加費用(20%)などの不正な請求があるのではないかと心配している。

カーシェアリングの主な懸念事項は何ですか?

ドイツでは明らかにカーシェアリングが増加傾向にあるが、流行りモノ好きにとどまらず、広く普及させるには事業者が乗り越えなければならない障害がまだ数多く存在する。料金を下げ、提供できる車の数を増やし、返却を容易にすることなどは、より幅広い顧客層に受け入れられるには有効であろう。 しかし、どうすれば自分の車を所有することを何よりも重視する人たちを説得できるだろうか。 そもそも、説得されるべきだろうか。人々が利用するのを見て、良いところも悪いところも広く認識されることが、カーシェアリングへの関心や利用意向を左右するのではないだろうか。

筆者紹介
Tanja Schweiger
J.D. Powerドイツオフィスのリサーチを担当マネージャー。時折カーシェアリングを利用しますが、現時点では車の所有を放棄することなど考えられないと思っています。

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