From Germany

自動運転の楽しみとは?

日々刻々とヨーロッパ各国の社会が重大な変換点に近づいている。

この大きな変化をもたらすのが自動運転である。ドライバーアシストといった部分自動化から完全自動化に至るまで、さまざまな車が登場するであろう。この技術は一般に認識されているよりは開発が進んでいるが、一つ大きな疑問が残る。消費者は果たして運転する必要のない車を求めているのだろうか。

多くの優秀なエンジニアが自動運転技術の開発に取り組んでいるが、消費者がこの技術をきちんと理解し消化できているのだろうか。ハンドルを握らずペダルも踏むことなく、A地点からB地点まで移動を完了してしまうような新技術を信頼する心の準備ができているであろうか。

この問いに対するユーザーの初期の反応がわかるのがドイツJ.D.パワーによる最近の調査である。
回答者の4分の3が自動運転技術を全く信頼していない。アメリカで実施した同様の調査でも近い結果が得られ、68%の回答者が完全自動化を信頼していない。一方で、中国のユーザーは自動運転の受け入れに心理的な障害が少ないようで、懸念を抱いているのはわずか23%であった。

国をまたいだ比較では、3つの市場に共通するのはいずれの国においてもユーザーが技術の信頼性に対し大きな懸念があるが、その度合いが市場毎に大きな差があることである。ドイツでは31%に過ぎないが、アメリカと中国ではそれぞれ50%と53%が技術の信頼性に対し懸念がある。アメリカや中国と比べるとドイツの消費者の方が自動車メーカーに対する信頼が大きいようだが、ドイツ人の自動運転に対する信頼度の低さはどこからくるのであろうか。

自動運転に対する最大の懸念は何ですか?

法整備が不十分なため自動運転車を所有あるいは運営することを躊躇すると回答した。法制度の問題は各国共通のようで中国と米国でも同様にそれぞれ18%と13%が懸念を示している。

「運転する楽しさの喪失」が自動運転の最大の懸念であるとしたのが米国と中国でははそれぞれ8%と3%に過ぎないのに対し、ドイツではその数字が17%に跳ね上がる。自動運転を推進するメーカーにとり最大のネックが間違いなくこういった考えをもつ消費者になるであろう。

確かに無人運転が人々の日常生活に入り込むまでにはまだ長い道のりが必要である。しかし、ユーザーが受け入れないとすれば、そのような技術にどれだけの意味があるのだろうか。メーカー各社は、自動運転技術を開発するのと同じくらいの時間と労力を、ユーザーの説得と啓蒙にも費やす必要がありそうである。

筆者紹介
Tanja Schweiger
J.D. Powerドイツオフィスのリサーチ担当マネージャー。ミュンヘン在住で、他の4分の1のドイツ人と同じように自動運転技術をすでに信頼しています。自動運転車が早く普及することを願ってやまない日々を送っています。

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