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通信事業者と
自動車メーカーの共通点は?
TV・インターネット・携帯電話の一括契約や、同じ保険会社の複数契約特典。セットで何かを契約したり購入すれば、大抵の場合個別に契約するよりも安くなる。情報の連携が容易になった現在、様々な技術がパッケージ商品の提供をより容易にしている。クルマに関しては、数社が自動車サブスクリプションサービスの提供を始めた段階にあり、これから他が参入しようという状況である。
- コックス・オートモーティブの合弁会社が、自動車サブスクリプションアプリのFlex Driveを提供
- ニューヨーク、ダラス、ロサンゼルスでBook by Cadillacがサービス開始
- カリフォルニア州でヒュンダイがIoniq Unlimited+サービスを開始
- BMW、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、ボルボ他も同様サービスを開始
自動車サブスクリプションサービスは自動車に関連する様々な商品やサービスを1つの支払いにまとめるものであり、サービス内容は企業やメーカーにより異なる。例えば、
- ヒュンダイのプログラムでは走行距離の上限がなく、クルマの利用料金とメンテナンスサービスをまとめて36ヵ月の契約で提供 Driveを提供
- ボルボのプログラムでは走行距離は15,000マイル/月、自動車保険、メンテナンスサービス込み、契約期間24ヵ月、1年経過後はアップグレードが可能 by Cadillacがサービス開始
- キャデラックのプログラムでは走行距離が2,000マイル/月、自動車保険、メンテナンスサービス込み、自宅への納車があり、年間最大18回の車の変更が可能
消費者はこのような自動車サブスクリプションサービスをどのように受け止めているのだろうか。JDパワーとAcxiomはクルマ、自動車保険、オンラインサービスとガソリン代を1つの支払いにまとめて月々支払うプログラムへの関心度の調査を実施した。その結果、過半数がこのような自動車サブスクリプションサービスに関心があると回答している。さらに、関心度は世代により異なり、40代以下で特に高くなり、約75%が自動車サブスクリプションサービスに関心があると回答している。
今後の自動車の変化を見据え、自動運転車での同様のサービスについての関心度をたずねた。わからないこともまだ多く、不安要素もある自動運転(なじみの薄い新技術や、不信感、コスト面など)については、従来の自動車に対するよりも今回提示したような新しい利用形態に対して関心がより高くなっている様子。実際に、自動運転車に乗るのであれば、オールインワンパッケージを検討したい、との回答が従来の自動車よりも多く見られた。
現状でも過半数は利用を検討するとの回答であったが、自動運転車に限るとその割合は9割を超える。このような自動車サブスクリプションサービスへの関心や利用意向は特に若い世代において現在も、今後も高くなると考えられる。
車をリースせず、購入している人にとって自動車サブスクリプションサービスはあまり魅力が感じられないかもしれない。でも、車をリースしている人にとって、あるいはリースをしていない人にとっても、自動車サブスクリプションサービスは様々な選択肢を提供し、手間の簡略化につながるのだ。
- 複数の毎月の請求書に対して、一つの請求書にまとめられる
- 同じ料金でより多くのサービスを受けられる
- より長い運転距離を定額で利用できる
- より短期間で車種の変更が可能になり、クルマに縛られる期間を短くできる
現時点では自動車サブスクリプションサービスは限られた地域や限られた人を対象にしているが、そもそも試験運用が始まったばかりの状況であり、企業は試行錯誤しながらサービスを検討している段階である。サービス化が進み改善されるにつれ、あなたのニーズにあうサービスもでてくるかもしれない。果たしてそれは購入やリースという形態に置き換わるものなのか?すぐにはそのような変化は訪れないだろうーでもこれまでの保有や購入形態を変える可能性もあると言える。選択肢が増えるとはそういうことではないだろうか。
- 筆者紹介
- David Amodeo
J.D. Power グローバルオート部門ディレクター。自動車の新しい検討方法や購入手段にとても関心があります。
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