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タイニーハウス運動が
締め付ける車載技術

我が家はテレビ番組「Tiny House Nation」がとてもお気に入りだ。おかげで次に移り住むのをそういった小さな家にするかどうかが大きな関心事となっている。このようなムーブメントの背景にあるミニマリストという考え方に筆者は共感するが、日々の生活の中で享受しているプライバシーを考えると個人用のスペースが小さくなることに少し不安を抱いてしまうのである。

Tiny House Nationの人気は、シンプルさ、金銭的な束縛からの解放、過剰性の排除や全体としての価値の高まりなどに焦点を当てた社会的ムーブメントを表している。Tiny car、つまり超小型車は米国で大人気とまではいかないが、2017年のJ.D. Power Tech Experience Index StudySM (TXI)によるといくつかの車載技術がこういったミニマリスト的なトレンドに晒されていることがわかる。

特筆すべきは、あるものが本当に役に立つと認識されているかどうか、という考え方である。新車オーナーは搭載された技術の価値や値打ちを一つ一つ評価し、果たして自分たちの時間を使ったり、お金をかけたりする価値があるかどうかを取捨選択する。今までこのような技術がなくとも世の中はやってこられたのも事実。この事実が判断の手掛かりになるのかもしれない。

TXIの新しい調査では、ある技術を使い始めたが、車を購入してから最初の90日以内にその技術の使用を停止したオーナーを調べた。調査対象は同社がリクルートしたオーナーで、特定の技術を自らの意思あるいは衝動で購入し、最初は関心を示したものの、使ってみたらニーズを満たしていないと判断した人たちである。使ってはみたものの使用を中止してしまった機能で最も出現頻度の高かったのが車載モバイルWi-Fiと言えるモバイルルータである。こういったオーナー(全体の10%)および機能をはじめから一度も使用しなかったオーナー(プラス35%)がその理由を尋ねられると、43%が機能を「必要としなかったから」と答え、24%が「必要のない技術のために利用料金がかかるから」と回答した。どちらの理由もオーナーが認める価値がその機能に欠如していたことを示している。価値に対する評価が有用性の尺度となるのである。

装備使用頻度:車載モバイルルータ

製品を実際に使用して得られる満足度という観点からみると、価値の欠如は有用性を計る上で極めて大きな影響がある。消費者にとっての「価値」は時間とお金、またはその両方で計ることができる。そして失望するようなことがあれば次の消費行動に与える影響は小さくない。車載Wi-Fiを使ってみたがその後使用を中止したユーザーがまた同じ装備を購入する割合(43%)は、車に乗るたびにその装備を使用するユーザーの割合(84%)の半分ほどにしかならない。

車載Wi-Fiは、ユーザーが必要性について自問自答する代表的な技術の一つである。多くのユーザーは携帯電話のデータプランを通信に利用しており、データ無制限プランがより手頃な価格になるにつれこの傾向に拍車がかかっている。また、人によっては車を運転している間はつながらないことをむしろ積極的に求める場合もある。

ユーザーが使わなくなる装備はなにか、またその理由はなにかを知ることで、デザイン、マーケティング、トレーニング、またはパッケージングなど関連する分野での対策が打てるようになる。当たり前のことであるが、次に購入する車に何が必要なのか、あるいは技術に対する価値を決めるのは究極的には消費者なのである。

結局のところタイニーハウスという考え方も、日々断捨離の判断をしているということなのである。

筆者紹介
Kristin Kolodge
J.D. PowerのドライバーインタラクションとHMIを担当するエグゼクティブディレクターです。実際にタィニーハウスに住むかどうかは別として、自分がミニマリストの時流に乗っていることを自覚しています。

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