From China
中国のデジタル時代に生まれる
夢のクルマ
数年前のある夏の暑い日、車に乗り込むのを躊躇した。耐え難い暑さはエアコンのおかげで数分後には快適な温度に下がったが、車がドライバーのニーズを事前に察知し、乗り込む前にエアコンを作動させてくれないだろうかと考えてしまった。
上海に本社を置くNext EV社は最近、最先端の自動運転技術とインターネットとの接続性を備えた新型モデル、「NIO ES8」を発表した。報道によると、この車は気象条件に応じて自動的に窓を閉めたり空気清浄機を調整したりするのである。
コネクテッドカー(つながる車 訳者注:コネクテッドカーもつながる車も単語として業界で使われるが、今回は原文に合わせて前者を採用。「つながる車」を補足説明として入れました。)に対する最近の認識を調べた中国J.D. Powerによると、中国ではほとんどの消費者が強い関心を示していることがわかった。調査結果によると、91%が次に新車を購入する際はコネクテッドカーを検討すると回答した。さらに、消費者の半分以上(51%)が、コネクテッドカーの価格の方が20%高くてもかまわないと回答している。
また、同じ調査によると、消費者がコネクテッドカーに求める5つの先進技術は次の通りとなる。走行安全モニタリング機能(67%)、リモコン機能(62%)、車両状況モニタリング機能(59%)、音声認識(55%)、インタラクティブ・エンターテインメント(27%)。
中国の消費者は全般的にコネクテッドカーの将来についてかなり肯定的である。調査では4分の3以上(78%)がドライバーの仕事を人工知能に委ねることにより「安心、安全」を得られると考えている。また、人工知能応用技術は車に適していると回答している。
コネクテッドカーが娯楽と利便性を高めることを広く期待されている一方でいくつか問題になり得る点も消費者が指摘している。調査によると、59%が新技術の開発に伴い、ドライバーが運転に積極的に関与する機会が減り、車の能力に頼りすぎるようになると考えている。さらに、車がインテリジェント化および自動化されると、高性能車に対する関心を低下させると58%が回答した。また、28%がハッキングされる可能性について懸念を示している。興味深いことに、エンターテインメントやその他のアプリを運転中に使用することによる危険性に対しては、回答者の23%しか問題視していない。
中国は2035年までにデジタル化の先進国を目指しているため、ITとデジタル経済が素早く進化し、すべての業界に浸透する必要がある。この点に関して、自動車産業はインターネット、ビッグデータおよび人工知能の活用という側面において重要な役割を担うのである。 こういったデジタル技術を活用し、新しい運転と移動の概念を実現できれば、中国で展開する自動車メーカーが顧客を魅了することができるであろう。
- 筆者紹介
- Acy Min
J.D. Powers上海オフィスでマーケティングを担当する生粋の上海っ子。クルマノコネクットと自動化を楽しみにしています。
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