From China

自動運転に対し最も積極的な
中国人消費者

交通渋滞、安全性や所有コストなど自動車にまつわる問題を解決するため世界各国で自動運転の実用化を高い戦略目標に置いている。しかし、世界の消費者心理をみると自動運転に対する反応は様々である。以前掲載したJ.D. Power Mobility Disruptorsでは、米国においては不確実性や技術的な不具合に対する懸念から自動運転に対して悲観的な見方が増えてきたと指摘した。

中国の消費者に対し同様の調査をすると結果が全く異なっていた。中国での反応を理解するための前提として理解しておかないといけないのは、同国では “インテリジェント”や “つながる”といった新しい概念が旬であり、同時に電気自動車やカーシェアリングの普及に向けて積極的であるということだ。

中国の消費者は新しい技術を好むことで知られているが、果たして自動運転でも同じような傾向がみられるであろうか。最近のJ.D. Powerの調査によると、回答者の78%が、完全自動運転を、「非常に」あるいは「おそらく」信頼できる、と回答している。この数字がわずか31%の米国とは対照的である。

完全自動運転技術を信頼できるとするレベル

米国では若い消費者が高齢者よりも自動運転を信頼する傾向にある。しかし、中国ではすべての世代にわたり高い信頼を得ているのが特徴である。1970年代以前に生まれた世代と、1990年代に生まれた世代を比較しても自動運転に対する信頼度に大きな差がないことは注目に値する。両方の年齢層の70%以上が完全自動運転技術を「非常に」あるいは「おそらく」信頼すると回答した。

中国の消費者の大多数は今後5年間で完全自動運転の開発が中国よりも米国で進むとみている。さらに、中国の消費者は、既存の米国自動車メーカーを中国メーカー以上に信頼していることがわかった。 GM、Ford、Chryslerのような米国自動車メーカーに加えてGoogleのようなハイテク企業やテスラのような新エネルギー自動車メーカーなどはすべて、中国の同種企業に比べて信頼度が高いのである。

米国の消費者は、自動運転の最大の利点を「事故の減少」と考えている。しかし、より多くの割合で彼らは「何のメリットもない」と回答。米国の消費者がより説得を必要とすることが明白である。一方、中国の消費者の見方は大きく異なる。自動運転の最大のメリットが、「運転中に他のことができること」と「運転中のストレスを軽減できること」と回答した中国の消費者はそれぞれ34%と33%にも上る。このような期待が生まれる背景には、中国の多忙でストレスの多い都市生活、そして中国の都市部に共通する深刻な交通渋滞の問題などがあると考えられる。

中国では自動運転中に車内で「本を読んだり、ビデオを見たり、ネットサーフィンしたり、ゲームをしたりすること」および「チャットしたり、テキストメッセージを送ること」のどちらも約6割の高い割合となる。中国でのスマートフォン人気の高さを考えるとどちらの回答も納得がいくし、完全自動運転技術に高い信頼を置いているのもうなずける。

米国や他の先進国同様、中国における自動運転の成功には、インフラ整備、関連法規制の整備、データのプライバシー保護などの多くの障害を克服する必要がある。これらすべての課題に対処するためにはまだまだ時間がかかる。しかし、中国の回答者の一人が語ったように、「完全自動運転が実現する日を楽しみにしています。この技術がもたらしてくれる全く新しい運転の概念を享受できるからです。」
この点に関しては誰もが合意できる。

筆者紹介
Jacob George, Flora Niu
ジェイコブはJ.D. Powerアジア太平洋事業部の副社長兼ゼネラルマネージャー、フローラはJ.D. Powerの研究員です。
どちらも中国に長年住み働いています。自動運転に関しては期待と不安が入り混じっています。

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