エコカーの種類

環境にやさしいエコカーは今日では珍しくなくなりました。
J.D. パワーが実施した「2017年日本新車購入意向者調査」でも、検討者が多いクルマのトップ10のうち、7車種がエコカーという結果になりました。
調査結果からエンジンの種別ごとに検討者数の割合をみると、ガソリンエンジンが最も多く64%ですが、HV(53%)、PHV(19%)、ディーゼル(18%)、EV13%を合わせると計85%でエコカーを購入検討するという人がガソリン車を上回りました。

購入検討モデルランキングTOP10

1 位 トヨタアクア(HV)クリーンエネルギー自動車
2 位 トヨタプリウス(HV)クリーンエネルギー自動車
3 位 マツダCX-5(CDV)クリーンエネルギー自動車
4 位 日産ノートe-POWER(EV)クリーンエネルギー自動車
5 位 マツダデミオ
6 位 ホンダ N-BOX
7 位 トヨタプリウスPHVクリーンエネルギー自動車
8 位 ホンダフィットHVクリーンエネルギー自動車
9 位 日産セレナ
10 位 日産セレナHVクリーンエネルギー自動車

※ランキング順位は、メーカーのみ決まっているが、モデルは決めていないといった回答を除いたランキングです。
☆印がクリーンエネルギー自動車

CDV
クリーンディーゼル自動車
PHV
プラグドインハイブリット自動車
EV
電気自動車
HV
ハイブリッド自動車
エコカーの種類

さて、このエコカー、次世代自動車とかクリーンエネルギー自動車と呼ばれることもありますが、そのタイプは様々です。

ランキングに挙がったモデルを例にすると、 上位のトヨタアクアとトヨタプリウスは、ハイブリット車。ガソリンエンジンと電動モーターの2つの動力源で走行し、低燃費で走行します。
4位のノートe-Powerは、分類上はHVに入りますが、外部から充電するのではなく、エンジンで発電してモーターのみで走る新しいタイプの電気自動車ともいえます。
7位トヨタプリウスPHVと8位のホンダフィットHPVは、ガソリンと電気の2つの燃料で走り、バッテリーの電気がなくなるとガソリンエンジンを使ってハイブリット車として走行する、HVとEVの中間的な存在のプラグインハイブリット車。

このような分類を見てもわかるとおり、技術の進化に伴い、エコカーは多様化を続けています。

見た目や安全性を評価してエコカーを検討する人も増えている

エコカーが注目される理由としては、経済性と環境性に優れている点が大きな要因といえます。
これは日本で最初に量産型のエコカーが誕生した時から続いている傾向で、先駆けとなったプリウス(1997年発売)は、ガソリン1リットルで28km走ることや、走行中のCO2排出量を大幅に削減できることなどが話題になりました。
しかし、それから20年余りが経ち、HVの燃費性能はさらに向上しました。走行中にCO2を排出しないEVが誕生し、家庭で充電できるPHVが生まれ、街中の充電スタンドも増えました。

そのような変化の中で、経済性・環境性に対するユーザーの評価も変わりつつあります。
例えば燃費の面では、省エネ性に優れたモデルが増えたことで「1リットルで何km走る」と言ったインパクトが薄れてきました。
その影響もあってか、調査でも、経済性・環境性以外の点でエコカーを検討する人が増えています。
「日本新車購入意向者」の最新版(2017年)と2016年を比べてみると、HVの検討者では内装を重視する人が増え、PHV検討者では外装を重視する人が増えました。EV検討者では走行性能や運転しやすさを重視する人が増え、HV、EV、PHVすべての検討者で、安全性能を重視する人が増えています。
エコカーが経済性と環境性に優れているという点は今も変わりません。
ただし、ランキングの結果にも表れたように、エコカーがメジャーな存在になり、デザイン性、走行性、安全性といったプラスαの魅力を持つクルマが増えました。その結果、「経済的なクルマがほしい。だからエコカー」と考える人だけではなく、かっこいいクルマ、乗りやすいクルマ、安全なクルマを求める人たちも、エコカーという選択にたどり着くようになっているのです。

分類やモデルが多様化し選択肢がさらに増える

環境性の面では、例えば米国カリフォルニア州で、HVがエコカー優遇措置の対象から外されました。カリフォルニア州は排気ガスを出さないクルマ(ZEV:Zero Emission Vehicle)の普及に力を入れていて、2050年ごろまでにすべてのクルマを電気自動車か燃料電池車にすることを目標としています。HVはガソリン車より環境性に優れ、CO2排出量も少ないのですが、ゼロではありません。そのため、エコカーのくくりから外されることになったのです。

日本では、HVがエコカーの代名詞であり、エコカーの中でも登録台数・販売台数・所有台数でトップです。しかし、車大国である米国では、より高レベルの環境性を求めて規制が動いているのです。

このような変化を踏まえると、現状のエコカー市場はまだ過渡期にあり、今後も変化していくだろうと予想できます。
モデルやボディタイプといった点でエコカーのバリエーションはさらに増えていくでしょう。
エンジン・モーター関連の技術は日々進化していますので、MIRAI(トヨタ)のように水素を燃料とするFCV(Fuel cell vehicle)の注目度が高まる可能性もあります。
ガソリン車の中でも、車体の軽量化、アイドリングストップ、空気抵抗の削減などによって省エネ性の高いモデルが誕生していますし、欧州ではエコカーの主流となっているディーゼル車(クリーンディーゼル車)も注目されています。
いずれにしても、選択肢が増えることは消費者にとって良いことです。エンジン・モーターの種別やボディタイプが多様化するほど、満足できる1台に出会える可能性も高くなります。
次に「車を買おうかな」「買い換えようかな」と考えるときには、従来にないまったく新しいタイプのエコカーが誕生しているかもしれません。

参考資料 一般社団法人エコカー振興センターHPクリーンエネルギー自動車A to Z
http://www.cev-pc.or.jp/kiso/http://www.cev-pc.or.jp/lp_clean/

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