生命保険満足度ランキング
新時代の保険選びのヒント
生命保険は多くの家庭に馴染みのある商品ですが、なんとなく加入したので自分に合った保険会社を知りたいという方もいらっしゃるでしょう。そんな時にぜひ参考にしてほしいのが、J.D. パワーが実施している「生命保険契約満足度調査」「生命保険保全手続満足度調査」「生命保険金請求対応満足度調査」です。それぞれの調査は、過去1年以内の生命保険の新規契約者を対象とした契約時の満足度、加入後1年以上経過し直近1年以内に請求を行っていない契約者を対象とした保全期間の満足度、直近1年以内に保険金・給付金の申請手続きを行った契約者を対象とした保険金請求時の満足度について測定しています。今年3月発表の最新調査ではどのような結果になったのでしょうか。
今年は、3調査共にプルデンシャル生命が総合満足度第1位となりました。「生命保険契約満足度調査」ではプルデンシャル生命に次いで2位がソニー生命、3位が東京海上日動あんしん生命に、「生命保険保全手続満足度調査」ではプルデンシャル生命に次いで2位がソニー生命、3位が富国生命に、「生命保険金請求対応満足度調査」ではプルデンシャル生命に次いで2位がソニー生命、3位が富国生命というランキングになりました。
平成に終わりを告げ、令和の時代が始まりましたが、平成の30年間で保険を取り巻く環境もずいぶん変わりました。平成に入った頃の生命保険商品は今よりも予定利率が高く、運用益が多く見込めたため、保障性と貯蓄性の両面をアピールした保険商品が目立ちました。しかし超低金利時代となった近年は、生命保険を貯蓄目的で選ぶのが難しくなっています。もともと保険は保障を目的に加入するものと考えれば、本来の機能がより注目されているといえるかもしれません。
また、平成は規制緩和や自由化が進んだ時代でもあります。特に、インターネットという便利なツールが暮らしに定着し、一個人がアクセス・入手できる情報量が格段に増えたことは、消費者の購買行動に大きな変化をもたらしました。生命保険業界でも商品の多様化に加え、銀行窓口や乗合代理店など新たな加入窓口が登場しました。
こうした中、生命保険契約者の情報源は変化しているでしょうか。生命保険加入時の情報源を2019年と2011年で比較すると、「保険会社の担当者」の割合は大きく低下しています。ところが、「保険会社のオフィシャルサイト」や「比較サイト」など、ウェブでの情報収集は意外にも増えてはいません。また、「家族・親戚」「友人・知人」の割合は8年間でほとんど変わっておらず、生命保険選びには、“親しい人”が重要な情報源として変わらず機能しているようです。興味深いことに、20代以下の平成生まれ世代においてその傾向が強いという結果も出ています。
しかし、人を介してやウェブサイトからなど積極的に情報収集して結んだ契約が、必ずしも高い満足度につながってはいません。下のグラフを見ると、「家族、友人、知人とのお付き合いで」「営業担当者などに勧められた」「勤め先の関係で」の項目で、非常に満足度が低くなっています。それら情報源の人から背中を押された形で契約を結んだものと思われ、契約にあたって十分に理解し、納得できるだけの情報を提供されていない可能性がありそうです。一方、「アフターフォローが良い」「格付や財務内容が良い」「保険内容がわかりやすかった」が高い満足度の決め手となっています。契約前後で納得感のある情報やサービスが提供されていれば、加入保険に対して不満を持ちにくくなると言えそうです。
生命保険に加入したらお付き合いは長くなるものですが、子どもが成長するなど年月の経過で様々な状況が変われば、契約内容の見直しをする必要が生じます。実際、どのくらいのタイミングでどのくらいの人が見直しをしているでしょうか。
契約期間と加入している保険の見直しの有無の関係をみると、契約年数が長期化しても、「見直しはしていない」人の割合が6割以上と最も高く、21年以上契約をしていても実際に「見直しをして保険内容を変更した」人は2割程度にとどまっています。また、「見直しのきっかけ」をみると「保険料の負担軽減」や「家庭環境の変化」、「将来の経済的な備えに対する不安」などライフステージの変化に伴って見直しを行う人が多いようです。
本調査では「保険の見直し」をした人はそうでない人より満足度が高いこともわかっています。つまり、長いおつきあいになる生命保険だからこそ、家族構成の変化やライフステージに合わせた見直しをすることが、不用意な解約などで失敗しない秘訣です。そのためにも、専門家に適切なアドバイスを求めることが大切と言えるでしょう。
生命保険に加入するときに、保険金・給付金の請求手続きのことまで考えていない人が多いのではないでしょうか。実は、契約している保険会社によって、請求手続きに必要な書類は異なり、その手配に意外に費用がかかるものなのです。J.D.パワー2019年生命保険金請求対応満足度調査で「診断書・証明書の費用負担」をみると(図3)、半数を超える人が診断書や証明書を自費で入手していることがわかっています。普段から保険料請求時にどんな書類がいるのか、その手配に費用が発生するのか、それがどの程度の費用かはチェックしておいたほうがよさそうです。
生命保険を選ぶ際には、各社の保険商品の保障内容や保険料を比較し、自分に必要かつコストパフォーマンスの良い保険商品を選択したいところですが、保険会社や商品ラインナップも様々で、保険の専門知識がないとなかなか難しいのが現実でしょう。
そのために保険会社の営業担当者や専門家に適切なアドバイスを求めることは有効ですが、説明やアドバイスを単に受け身で聞き入れるのではなく、自分がどのようなリスクを保険でカバーしたいのか、加入している社会保障にどのくらい保険料をプラスしたいのかなど、自分のニーズを明確にしておくことが、保険への満足度を高めるためにも重要です。