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自動運転技術がわからない!

筆者は最近、運転中にコンクリート製のパイロンにバックでぶつけるという不名誉なことをしてしまった。
少なくとも最初はそう思った。

バックモニターの画面上で件のコンクリート製の障害物が確認できており、バックセンサーの警報が鳴りっぱなしであったにもかかわらず、リヤのフェンダーまでの距離がまだ数インチあると確信していた。すると突然、不快な音と同時に車が止まった。バックセンサーと助手席の妻からの度重なる注意を無視し続けたために、頭に浮かんだのは修理工場と「ほら見たことか!」と妻から罵倒される自分の姿である。
うなだれ、肩をすくめ、最悪の事態を想定しながら損害の度合いを見極めようと自分のSUVの後部に向かって歩いた。ところが傷一つない。こんなことがあり得るだろうか。確かにぶつけたはずである。確信があった。自分の足がブレーキペダルの近くにさえなかったのに車が止まったのだ。うれしい誤算、という言葉では言い表せないほどの安堵が広がった。傷ついたのは自尊心だけである。
自尊心にとり幸いなことに、実際に何が起こったのかが判明した。コンクリート製パイロンに近づき過ぎたため、車がドライバーを信用しなくなり勝手にブレーキを操作したのであった。

新車のSUVが最初に届けられたとき、営業担当者が行き届いた納車をしてくれたと思った。Bluetoothと車のペアリング、ラジオの選局ボタンのプリセット、そして遠隔操作で車を始動させるためのアプリのダウンロードとセットアップまでしてくれたのである。確かに自動ブレーキの使い方までは教えてくれなかったが、安全に実演できるはずもないので仕方がないと思った。

J.D.パワーの調査によると、顧客の約3/4は新車の営業担当者が最新のテクノロジーを理解していないと感じている。さらに多くの消費者(77%)が、営業担当者はオーナーがテクノロジーを理解できていなくてもあまり気にしていないようだと思っている。

全く/あまり同意しない割合(%)

すでに実用化されているテクノロジーの多くが将来の自動運転技術につながるが、多くの新車購入者がそのことに気づいていない。
例えば自動ブレーキ。ほぼ3分の2のユーザーが自動運転機能とは認識していない。新車を納車してもらう際、オーナーは少し面倒でも、機能の使い方を解説した資料がネットあるいはマニュアルに載っているかどうかを営業担当者に必ず尋ねておくべきである。そうすれば後でわからないことがあっても役に立つはずである。対面によるさらに詳しい説明が必要であればディーラーに申し込めばよい。きっと大歓迎してくれるであろう。

ディーラーの方々へ:
テクノロジーの進歩は消費者との接触機会を減らし、ディーラーが車やその機能の説明をちゃんとしてくれないのではないかという不信感を生み出している。車の搭載技術が娯楽を提供するものから安全性を高めるものに移行するにつれ、この問題はディーラーにとってより深刻になってきている。J.D. Powerは(顧客との関係において)障害になりそうな項目を継続的に調査しており、ディーラーの方々が積極的に将来に備えられるよう、必要なツールを提供することができる。

まずは営業担当者にトレーニングを施す。
顧客と直接の接点をもつのが営業担当者であり、現在および将来提供されるであろうテクノロジーや機能に関する知識を蓄える必要がある。知識として必要なのが、それぞれの機能のメリットあるいはデメリットになり得るポイント、さらにはそれらが将来の自動運転技術にどのように組み込まれるか、などである。こういったさまざまな機能が一体となり、より安全な運転とカーライフが提供できることについて営業担当者は顧客との対話を開始しても良い時期かもしれない。

顧客の理解度を高める。
ニーズの分析手法、装備の実演、試乗および納車などのプロセスを活用しつつ顧客の理解度を高めていくことにより、顧客のもつ懸念をより深く知ることができる。ユーザーが購入した新車の機能を理解していない場合、損をしたと認識してしまい満足度が低下してしまうことをJ.D.パワーの調査は一貫して示している。自分の体験を振り返っても同じことがいえる。あの時筆者のSUVでバックしているとき、車が危険を察知して自動で止まることをもし事前に知っていれば、心臓に悪いこともなかったであろうし、毎月支払う300ドルのリース料も割安に思えたはずである。
注意しなければならないのは、自動運転機能の実演を安全に行うことが極めて難しいということだ。このため、ビデオによるチュートリアル、機能を図解したものや体験ができるシミュレーターなどを組み合わせた方法が最も適していると思われる。車に詳しいユーザーは、営業担当者が信頼できると確信すると、そのブランドあるいはその特定のディーラーから繰り返し車を購入する傾向にあり、知人を紹介してくれる可能性も高まる。

顧客の理解度を高める作業を継続する。
最後に、可能な限りユーザーの理解度をより高める機会を増やすべきである。やり方としては、アップルストアのワークショップのようにグループ単位で説明したり、営業担当者による二回目の「納車」を行ったり、あるいは専門の商品説明員を再度訪問してもらうことなどが考えられる。それぞれのやり方は顧客との関係作り(または強化)に役立ち、自動運転が普及するにつれより重要になる可能性が高い。

自尊心を傷付けられた体験はストレスを感じるものであったが、実害がなかったためメンツを保つことができ、初めから車が自動で止まることを知っていたかのように振る舞えた。担当営業マンが筆者に自動ブレーキについて教えてくれなかったことは許すが、次回はせめて機能を説明したYouTube動画へのリンクくらい教えてもらいたいものだ。

筆者紹介
Eric McCready
J.D. Powerの米国自動車販売担当のマネージャー。彼は8気筒エンジンとタイヤを焦がす臭いが大好きな生粋のデトロイトっ子です。

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