From China

中国で自動車の所有形態に
影響を与える配車サービス

中国は世界最大かつ最もダイナミックな自動車市場である。成長が減速すると予測されているにもかかわらず、潜在的な市場の大きさは「無限大」とされている。その根拠となるのは単純な算術的計算である。つまり、車の普及率が米国で人口1,000人あたり800台であるのに対し、中国ではわずかに205台に止まっているので「無限大」の伸びしろがあるということだ。

中国での普及率が米国並みに近づくなどと自動車メーカーは本気で楽観視しているだろうか。おそらく答えは否である。中国の消費者が車を所有したいという願望は不確実な要素に影響されつつあるからである。最も顕著な例が配車サービスおよびそれと同時に確実な発展を遂げているモバイルインターネットやモバイル決済であろう。こういったデジタル技術との融合により、配車サービスという利用モデルが消費者にとり急速に魅力的な選択肢になりつつあるのだ。

中国における移動手段のソリューションに対する最近のJ.D. Power満足度調査で自動車の所有を放棄する意思があるかどうかを調べたところ、他の選択肢がある場合、19%が「非常にそう思う」、51%が「ややそう思う」と回答した。(米国での同様の調査によると依然として69%が車を所有することに拘っていた)。これは、中国における自動車販売が近い将来、劇的に減少することを意味するものではない。実際、J.D. Powerでは今後数年間は低い一桁台の緩やかな成長をたどると予測している。

中国における自動車所有を放棄する意思の有無

同調査では、中国の消費者が現在提供されている移動手段に非常に満足していることも明らかになった。3年前に利用可能だった移動手段の選択肢と比較して85%が満足していると回答した。消費者は特に滴滴出行(Didi)のような配車サービスアプリを好むようだ。57%が「プライバシー」について懸念を示しているにもかかわらずである。滴滴出行のようなアプリは大きな「柔軟性と利便性」(85%)を提供することにより消費者を満足させている。利便性のうち最も高く評価されたのが「予約機能」(70%)であった。

興味深いことに1990年代に生まれた中国の消費者の半数以上(51%)が「利便性とサービスが優れている」という理由で滴滴出行のような配車サービスアプリを使用している一方で、1995年から2004年の間に生まれた米国のZ世代(Gen Z)で同様な傾向にある消費者はわずかに13%である。米国のZ世代は、主に「運転を避けるため」(30%)および「個人の安全確保のため」(38%)に配車サービスアプリを利用するようである。
エコな移動手段も大いに伸びており、中国では65%が外出する際には可能な限り環境に優しい交通手段を選択すると回答。エコな手段として自転車のシェアリングも含まれており、20%が一週間のうち1回以上利用すると回答している。また、カーシェアリング事業も中国では勢いを増してきている。回答者の半数以上が時間貸しによるレンタカーについて知っており、70%が使ってみたいと考えている。

中国人はエコも好む

現在提供されている移動手段にはさまざまな選択肢があり、多くの市場で試されているが、一つのソリューションがすべてのニーズを網羅するには至っていない。中国市場は、自分の車を所有するというこれまでのモデルがまだ成長サイクルにあるにもかかわらず、配車サービス、エコな移動方法やカーシェアリングなどを利用する意欲がすでに高いという特異性をみせている。

筆者紹介
Jacob George
J.D. Powerのアジア太平洋事業部の副社長兼ゼネラルマネージャーであり、Vivi WeiはJ.D. Powerの研究員です。両者とも上海で暮らし勤務しています。配車サービスを頻繁に利用しており、そう遠くない未来に車を所有する必要がなくなると予想しています。

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